創業時の融資の取り組み方について

経営において資金を切らさないことは事業継続の条件となります。そのためにある程度の借入をしておくことは安定した経営を行う上では重要になります。特に創業時には多くの資金が必要となります。必要な資金はきちんと借入を行ったうえで、事業に取り組んでいきましょう。

金融機関に関しては都市銀行、地方銀行、信用金庫・信用組合、政府系金融公庫が上げられます。創業融資を考えるのであれば、融資の審査が柔軟な政府系金融機関及び信用金庫・信用組合を選ぶのが一般的です。政府系金融機関としては日本政策金融公庫が挙げられます。

取組方ですが日本政策金融公庫は貸すのが専門で、預金機能がありません。このため口座を作るのは融資を受けたい信用金庫・信用組合に作りましょう。法人として口座を作るのは信用金庫・信用組合であっても問題なくできるというわけではありません。法人を作る前に個人として口座を作っておき預金や投資信託などを作って信頼関係を作るのも一つの手段です。信用金庫などとの接点がない場合は信用保証協会に紹介してもらう方法もあります。横浜市であれば横浜市信用保証協会の相談窓口などがあります。

https://www.sinpo-yokohama.or.jp/access

融資の申し込みは日本政策金融公庫であればインターネットからの申し込みが可能です。

【日本政策金融公庫の創業融資申し込みについて】

https://www.jfc.go.jp/n/finance/search/sogyoyushi.html

インターネットでは以下の資料などを添付します。

1.創業計画書
2.創業のために必要な設備等の見積書のコピー
3.創業のために既に使った資金の領収書やレシートのコピー
4.許認可証・資格または免許を証明するもののコピー
5.代表者の本人確認書類(免許証・パスポート・マイナンバーカード)のコピー
6.履歴事項全部証明書(登記簿謄本)のコピー(法人の場合)

ポイントとなる創業計画書ではできるだけ数値を明確に出して、収益が出る事業であることを示す必要があります。

インターネットでの申請のあと、日本政策金融公庫の最寄りの支店などから面談の案内があります。その際には追加の資料を求められます。個人としての資産状況に関しても見られますので準備が必要です。過去の借入の実績も見られていると思われます。個人資産の状況によっては融資が難しいと判断される可能性はありますが、それは正直に伝えて対応することをお勧めします。

【信用金庫・信用組合の創業融資申し込みについて】

各信用金庫・信用組合等で申し込みのは対面などになりますが、若干の違いはあるものの基本的には日本政策金融公庫と同じまたは類似の資料を提出と考えてよいです。支店長の面談は必要になると想定しましょう。

日本政策金融公庫と信用金庫・信用組合の双方に借入を行うことも検討しましょう。協調融資という言い方をしますが、これによりより大きな資金調達も可能になります。また2つの金融機関との信用関係をスタートすることができます。

【融資のあとの進め方】

融資申し込みであまり急がせすぎますと、金融機関が警戒することがありますので注意しましょう。また、融資に関する説明資料にある上限金額を創業でいきなり受けられることは少ないと思います。まずは融資の実績を作り「借りる」「返す」のサイクルを守り、金融機関との信頼関係をつくり、より多くの資金調達が柔軟にできるようになっていきます。

このようにして資金需要に柔軟に対応できる企業にしていきましょう。

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齊藤 肇

長年の外資系IT企業で培ったITシステム導入に関する幅広い経験と知識が強みです。またプロジェクトのマネージメント経験は豊富です。 現在は補助金支援を主に、IT導入、遺言・相続、会社設立、事業承継、企業経営全般まで幅広く中小企業支援を行っています。 主な著書に「老舗の強み」(共著:同友館)、「新世紀を勝ち抜く卸売業の情報システム」(共著:経営情報出版)、「ビジネス能力(3級)合格完全対策」(共著:経林書房)などがあります。